「そろそろ、老後のお金のことも考えないとね」
自分でもそう思いながら、パートナーに言い出せないまま数年経ちました。
重い話になりそう。
空気が悪くなりそう。
なんとなく、今じゃない気がする。
同じように感じたこと、ある人も多いんじゃないかなと思います。
なぜ言えないのか気になって、夫婦間のお金について書かれたものをいくつか読んだり、実際に少しずつ話してみたりもしました。
その中で、これは「タイミングの問題」だけじゃなさそうだと感じるようになりました。
どうやら、話し方の構造にも理由がありそうです。
話せないのは「重いから」だけじゃない
老後のお金の話って、どうしてこんなに切り出しにくいのか。
最初は単純に「テーマが重いから」だと思っていました。
でも調べたり試したりする中で、それだけでは説明がつかない気もしてきました。
一番しっくりきたのは、正解がない話だということ。
たとえば、
いくらあれば安心なのか
何歳まで働くのか
どんな暮らしをしたいのか
どれも、はっきりした答えがあるわけではありません。
だからこの話って、意見を言うことが、そのまま「方向を決める」ことに近くなる。
責任を引き受ける感じになりやすいのかもしれません。
無意識に起きていた「責任の押し付け合い」
我が家で実際に話そうとしたときはこんな流れでした。
「老後どうする?」
「うーん…まだ早くない?」
「いや、でも考えないと…」
「じゃあ、どうしたいの?」
途中から、なんとなく詰められているような空気になる。
振り返ってみると、どちらが悪いというより、
「誰がこの話の責任を持つのか」を探り合っていた感じがあります。
これだと、会話が止まってしまうのも無理はないなと感じました。
「正しい話し方」がうまくいかなかった
最初にやったのが、いわゆる「ちゃんとしたやり方」でした。
- ネットで見た平均貯蓄額を共有する
- 老後資金の試算を出す
- 「今からやらないと間に合わない」と伝える
一見、間違っていないやり方。
でも、やってみるとうまくいきませんでした。
正しいことを言っているはずなのに、会話が広がらない。
むしろ、少し距離ができる感じさえありました。
今振り返ると、「正しさ」が強すぎて、お互いに少し身構えてしまっていたのかもしれません。
「未来」ではなく「今」から話してみた
いろいろ試す中で、少しやり方を変えてみました。
老後という言葉をそのまま出すのではなく、「今の延長」で聞いてみる。
たとえば、こんな感じです。
「今の生活って、このまま続けたらあと何年くらい大丈夫だと思う?」
この聞き方だと、遠い未来の話になりすぎないし、正解を求められている感じも薄くなります。
感覚で答えられる分、会話のハードルが少し下がった気がしました。
ほかにも、相手やタイミングによっては、こんな入り方もありそうです。
「最近、老後のこと考えることある?どんなとき?」
感情から入るパターン。
「定年したら、どんな一日を過ごしてると思う?」
生活のイメージから入るパターン。
どれが合うかは夫婦によって違いそうです。
自分たちに合う入り口を探すのがよさそうだなと感じました。
「理想」より「避けたい未来」のほうが話しやすい
もうひとつ、試してみて話しやすいと感じた聞き方があります。
「逆に、こういう老後はちょっと嫌だなってある?」
理想の話よりも、「避けたいこと」のほうがスッと出てきやすい。
実際に出てきたのは、こんな内容でした。
- お金のことでずっと不安なのは嫌
- 子どもに頼るしかない状況になるのは避けたい
- どちらかが先にいなくなったとき、残されたほうが困るのは嫌
- 病気のときに選択肢がないのは困る
こういう話ができると、「じゃあどうする?」が責める感じではなく、少しだけ同じ方向を見る会話に変わった気がしました。
一回で結論を出そうとしない
やってみて気づいた、これも大事そうだということ。
一回で結論を出そうとしないことです。
老後のお金は、一度決めたら終わりというより、状況に合わせて見直していくもの。
年齢や収入、子どもの状況でも変わるし、考え方も少しずつ変わっていきます。
だから、うまく話そうとするより、続けられる形にしておくほうが現実的なのかもしれません。
まずはここからでよさそう
「落ち着いたら話そう」と思っていると、だいたいそのタイミングは来ないというのも実感としてあります。
全部きちんとやろうとしなくていいと思います。
まずは、こんな一言を出せるかどうかだけでも十分。
「今の生活、このまま続けたらあと何年くらい大丈夫だと思う?」
ここから会話が広がらなくても問題ありません。
話題に出せた時点で、一歩進んでいるはずです。
まとめ
老後のお金の話ができなかったのは、重いからでも、タイミングが悪かったからでもなさそうでした。
正解がなくて、責任の置き場があいまいな話を、いきなり正面から出していたのが大きかったのかもしれません。
試してみてよかったのは、このあたり。
少し言い方を変えるだけで、会話の空気は思っていたより変わりました。
まずは「話せる空気」をつくることから始めてみるのがよさそうです。
そして実はここは、夫婦のお金の問題の入口にすぎません。
次に出てくるのが、「ちゃんと話しているのに、なんとなく不公平に感じる」というモヤモヤ。
共働きでも、片働きでも起きるこの違和感は、うちでも例外じゃありませんでした。
次回は、この「不公平感」がどこから生まれるのかを、自分なりに整理してみたいと思います。
