夫は悪くなかった。ただ、見ていた地図が違っただけだった。

夫婦円満

食器洗いは、俺もやってるよ

でも私、ほとんど全部やってる気がするんだけど

どちらも、嘘じゃない。
ただ、見えていた地図の縮尺が、違っていただけだった。

これは、先日の夫婦会議での話です。
夫婦で家事について話し合うと、なぜかかみ合わない。
「やってる」「やってない」の水掛け論になる。
そんな経験、ありませんか?

我が家も同じでした。
でも今回、内閣府のシートをきっかけに話し合ってみて、その「かみ合わなさ」の正体が、ようやく見えた気がしています。

家事の量の問題じゃなかった。
地図の縮尺の問題だった。


※この記事は「夫婦会議シリーズ」の第5回です。
内閣府男女共同参画局
夫婦が本音で話せる魔法のシート
PART.3 「家のこと」のシェアの仕方を考えよう[PDF形式:290KB]を実際に夫婦でやってみた記録です。

「4割はやろうと思ってる」──夫の答えに、正直びっくりした

最初の質問はこれ。

2人の関わる家事・育児について、理想の割合は?

夫:4
妻:6

……一致。

え、そこ合うんだ。

話し合い前は、「7:3とか、8:2くらいって言うのかな」
と思っていました。
夫は今も、「自分は2〜3割くらいやっている」と思っているからです。
そのうえで、現状維持を希望するかと。

ところが夫の答えは、

「理想としては、4割くらいは自分がやるのがいいんじゃない?」

あれ?思ってたんと違うぞ?

もちろん、今すぐそうなるわけではありません。
夫の体感は7:3、私の体感は9:1。
この差は、すぐには埋まりません。

それでも、「4割はやろうと思っている」という気持ちがあることは、
正直、ちょっと意外でした。

同じ家に住んでいるのに、見えている地図が違った

次の質問。

家族にとって重要だと思う家事を10個書き出しましょう。

夫の紙には、こんな項目が並びました。

・ゴミ出し
・風呂掃除
・ごはん
・食器洗い
・洗濯
・子どもの送迎
・寝かしつけ
・部屋の片づけ

一方、わたしの紙はこうなりました。

・食事関連
・洗濯
・子どもの生活管理
・子どもの学習関係
・学校&幼稚園関係
・家計管理
・在庫管理&買い出し補充
・掃除〜ゴミ出し
・地域関連

こうして並べると、
夫のほうが細かくて、
わたしのほうがざっくり書いているように見えます。

夫の項目は「作業」。私の項目は「エリア」。
こうして並べると、一目でその違いがわかります。

夫の地図には「点」が並び、妻の地図には「範囲」が並ぶ

私が書いた「食事関連」の中身はこうです。

 献立を考える
→食材の在庫を確認する
→買い出す
→調理する
→配膳する
→子どもの食事を見守る
→片づける
→食器を洗う
→翌日の段取りをする。

夫の紙には「食器洗い 夫:10割」と書いてありました。
それは事実で、最近は本当にほぼ夫がやってくれています。
でも私の地図で見ると、それは「食事」というエリアの中にある、ひとつの地点でした。

「食器洗い10割」は本当だった。でも、それは地図の中の一点だった

もっと言うと、「食器洗い」という家事。

ぱっと思い浮かぶのは、シンクでお皿を洗う作業かもしれません。
でも、わが家は食洗機なので、実際の工程は少し違います。

・食洗機に入れる前の予洗い
・食洗機に入らないものを手洗いする
・食洗機を回す
・洗い終わった食器を取り出し、一部水がついていたら拭くまたは食器カゴで乾燥
・乾いた食器を食器棚に戻す

こうして並べてみると、意外と工程があります。

しかも、わが家の場合は
「洗う」つまり食洗機を回すまでは夫、
「乾いた食器を棚に戻す」からは翌朝の私。

「食器洗い」という一つの家事の中にも、
いくつもの小さな役割があるわけです。

夫からすると、
「食器は自分が洗っている」。

でも私から見ると、
それは「食事」エリアの中、「食器まわりの家事」という中の、
一つの地点なのです。

夫はその中の
食器洗いという地点を10割担当。

私は
食事というエリアを10割担当。

だから、

夫の紙には
「10割やっている家事」があり、

私の紙には
「ほぼ全部やっている感覚」が並ぶ。

どちらも間違っていない。

家事は「作業」「家事」「家庭運営」の3層でできている

(上にいくほど見えにくい)内容主に担当
家庭運営生活の流れを設計し、家族の一日を整える
家事食事・洗濯・掃除などのエリアを回す
作業食器を洗う・ゴミを出すなど個別のタスク夫・妻

この話をしていて、もうひとつ気づきました。

家事には、実は
3つの層があります。

一番下は、作業
食器を洗う、ゴミを出す、掃除する。

その上にあるのが、家事
食事を回す、洗濯を回す、家を整える。

そして一番上が、
家庭運営

生活の流れを考えて、
誰が何をするか決めて、
家族の一日が回るように整えること。

夫は主に、作業の地図を見ている。

私は、家事と家庭運営の地図を見ている。

だから

「食器洗いは10割やってるよ」

という言葉と、

「私がほとんどやってる気がする」

という感覚が、同時に成立してしまう。

「量を分けても楽にならない」ほんとうの理由

ここで、ひとつ思いました。

家事分担の話って、
なぜこんなにこじれやすいんだろう。

たぶん私たちは、ずっと

家事の量を分けようとしていた。

でも実際にしんどいのは、

量よりもむしろ
誰が回しているか。

食器洗いを半分にしても、

献立を考える人
買い物を計画する人
時間に合わせて調理する人

が同じだったら、
その人は
生活の流れから降りられません。

つまり、


作業は分担されていても

責任は分担されていない。

解決策は「作業を半分こ」ではなく「エリアを渡す」こと

そこで私たちは、

「どの作業をやるか」ではなく

どのエリアの主担当を持つか

を考えることにしました。
たとえば週に一度。

その日の夕食は

「食器洗い」ではなく
夕食そのものを夫担当。

献立を決めて
必要なら買い物をして
作って
片づけまで。

全部ひっくるめて、その日の担当。

作業を渡すのではなく、
エリアを渡す。

これは結構大きな違いじゃありませんか?

「思ってたより、ずっと考えることが多いね」──夫のその一言

ただ、正直に書くと、料理に関しては今の夫にはまだ荷が重く、実現には至りませんでした。

その代わり、私が「食事関連エリア」で実際に何をしているか、時系列で話してみることにしました。

まず、朝とか昼くらいから、
今日の夕飯なににしようかな、って考え始めるかな

もうそんな早くから?

うん。前日の夜に冷凍庫から食材を移動することもあるから、
そういう場合はそのときからなんとなく考えてるよ。
で、昼間に買い物に行ける日なら、
その時点で買い物リストを作って、買い物に行く。

行けない日は、
冷蔵庫にあるもので作れる献立にする

うんうん

で、子どもが帰る前とか、
帰ってきてからとか、
習い事の送迎の合間とかタイミングはいろいろだけど、
まずお米を洗ってタイマーをセットする。

あと、献立もただ決めてるわけじゃなくて

と、言いますと?

栄養とか量はもちろんだけど、
子どもの好き嫌いとか、
これは多めに食べるな、とか

その日、夕飯にどれくらい時間をかけられるかも考える

時間?

例えば習い事の日は、
食べ始めるのが遅くなるから
先にお風呂にしたりするし、

そういう日は、
食べるのに時間がかかる献立にはしない

……。思ってたより、ずっと考えることが多いね

そう!それです!欲しかった言葉は!!わかって欲しかったことは!!!

……(びっくり)。しかも、毎日だもんね

で、食べ始めてからはね

まだあるの…?

牛乳ください、とか
おかわりください、とか

確かに、言ってるな…。
そういうのにも対応しながら食べてるわけね

買い物のタイミング。
冷蔵庫の残り。
子どもの好き嫌い。
その日の帰宅時間。

毎日なんとなく決めている献立は、
実はずっと頭のどこかで考えていたことでした。

もちろん、
休日に作り置きをしたり、
一週間分の献立をきちんと立てている人もいると思います。

そういうの、すごいなあと思いつつ、
わたしはどちらかというと
その日その日の冷蔵庫と相談する派。

だからこそ、
献立はいつも、
気づくと頭のどこかで考えていました。

外食にしても、頭の中は休まらなかった

だから例えば、

「夕飯作りが大変なら、今日は外食にする?」

そんなふうに言ってくれることがあります。
それはもちろん、ありがたい。

でも実は、
それで全部が軽くなるわけでもありません。

「今日使おうと思っていた食材どうしよう」
とか、

「平日だし、帰りが遅くなりすぎないかな」
とか。

ちょっとしたことが、
やっぱり頭をよぎる。

それは重圧というほどではないけれど、
そのエリアを担当している人の責任感みたいなもの。

一度外食にしたからといって、
その感覚がまるごと消えるわけでもないみたいです。

ちなみにですが…自分の書いた記事の宣伝になってしまいますが、
「自分でも外食でもない第三の選択肢」として家事代行を試してみたことがあります。
食材も使い切れて、後片付けまでやってもらえて、頭の中がはじめてちゃんと休めた気がしましたよ。

▶︎食材も使えて帰宅時間も気にならず、使った器具まで片づく家事代行という選択肢

※リンク先の記事には一部アフィリエイトリンクを含みます。

完璧な分担にはならなかった。それでも、変わったことがある

我が家の場合、

家事がきれいに半分になったわけでも6:4になったわけでもありません。

体感で言えば、

9:1 が
7:3 ……いや、8.5:1.5くらいかな。

主担当は、まだ私のままの部分も多い。

でも、ひとつ変わったことがあります。

それは、

大人の手として計算できる瞬間が増えたこと。

以前は、

夫が何をするかは
その日の気分やタイミング次第でした。

たとえばゴミ出し。

夫の出勤時間は、その日によって
数十分から数時間くらい違います。

以前は、

私が家じゅうのゴミ箱を回って中身をまとめ、
家からゴミステーションまで持っていくだけの状態にしておく。

そして、
夫の出勤時間に間に合いそうな日だけ、
「よかったら持っていって」とお願いする。

そんな感じでした。

それが今は、

家じゅうのゴミをまとめるところから、
夫がやってくれる日が増えました。

今回、はっきりとした分担表を作ったわけではありません。

でも、

自分が見ていた家事は、
生活という大きな地図の中の
一つの地点だった。

そのことは、伝わったように思います。

食事担当は、まだ少し荷が重そうですし、
私が主担当であることに異論はありません。

ただ、たとえサブ担当でも、
エリアが見えていると

どこからどこまでやれば、妻が楽になるのか。

そこを考えられるようになる。

そんな視点が、
少し加わったように感じています。

線で回している生活の中に、
夫の点がちゃんと組み込まれるようになった。

家事は「半分こ」するものじゃなく、「地図をすり合わせる」ものだった

今回の話し合いで分かったのは、

家事分担は
量の問題ではないということ。

同じ家事でも、
見ている地図の縮尺が違えば
負担の感じ方も変わる。

作業を分けるより、

どのエリアの責任を持つのか。

または、作業のみを担当する場合でも、
どこから繋がってきてどこへ繋がるのか。
それが見えたうえで作業する。

そこが少しずつ共有できただけで、
イライラの角度はずいぶん変わりました。

完璧な分担表はありません。

でも、

同じ地図の上で話せるようになった。

それだけで、
家の回り方は少し変わります。

そしてたぶん、家事って、
半分こにするものじゃなく、
地図をすり合わせるものなのかもしれません。

おわりに──あなたの家の「地図」も、広げてみてください

会議になかなか至らなかったところから始まり、
5回にわたってお送りしてきた「夫婦会議シリーズ」。
いかがでしたでしょうか。

「最近あまり会話してないかも」
「夫も家事をしてくれているはずなのに、なぜかあまり楽にならない」

そんな、はっきり言葉にするほどでもないけれど、
なんとなく心に引っかかっていたこと。

今回、夫と一緒に整理してみて、
その理由が少しだけ見えた気がしています。

振り返ってみると、

「なんで分かってくれないんだろう」と
勝手にイライラしてしまう前に、
もう少し早く話してみればよかったな、と思いました。

そしてもうひとつ。

夫には、
本当に悪気はなかったんだな、ということも。

ただ見えている地図が、
少し違っていただけだったのかもしれません。

ちなみにこのシリーズ、
きれいに整理された「成功例」を書いたというより、
我が家で実際に話してみたことを、ほぼ実況のように書いてきました。

うまくいったところもあれば、
思ったほど変わらなかったところもある。
そんな、わりとそのままの記録です。

もしよかったら、
あなたの家でも、「夫婦会議」をしてみてください。

家事の量がすぐ半分になるわけではなくても、
生活の回り方は、きっと変わると思います。

同じ家に住んでいても、
見ている地図は同じとは限らない。

だからまずは、
地図を広げてみるところから。

内閣府男女共同参画局|夫婦が本音で話せる魔法のシート 「○○家作戦会議」

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